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<任意後見契約公正証書> 任意後見契約の締結は、公正証書によらなければならないとされています。 その理由は、公証人が関与することにより、本人の真意に基づき適法で有効な契約が締結されることを制度 的に保証するためです。 また、公正証書の原本が公証人役場に保管されること、公証人により登記が間違いなく行われることなどに よるものです。 まずは、任意後見契約の受任者になる人を決めますが、この制度が適切に機能するには適切な人が任意後 見人になることが重要です。 法律でふさわしくないとしている(例えば、不正な行為、著しい不行跡など)理由がなければ、成人であれば 誰でも任意後見人になれます。 自分の子、兄弟姉妹、甥や姪、さらには弁護士、司法書士、行政書士などの専門家、信託銀行などの法人を 任意後見人にすることもできます。 公正証書の作成にあたっては、本人の事理弁識能力および授権意思を確認することが最も重要となります。 ですから、基本的には本人が公証役場に出向いて作成してもらいますが、行けない場合は公証人に病院や 自宅に出張してもらいます。 任意後見契約が公正証書により作成されると、公証人の嘱託で登記がなされます。 <代理権目録の作成> 任意後見受任者の代理権の範囲を明確にするために、本人と任意後見受任者で話し合って、代理権の 範囲を特定した「代理権目録」を作成します。 代理権付与の対象は @財産管理に関する法律行為・・・預貯金の管理・払戻し、不動産の処分など、遺産分割、賃貸借契約の 締結・解除など A身上監護に関する法律行為・・・介護契約、施設入所契約、医療契約、福祉サービス利用契約の締結 など なお、任意後見人ができるのは、契約などの法律行為だけですので、介護サービスなどの身の回りの世話 といった「事実行為」は含まれません。 つまり、介護サービスを受けたい場合には、任意後見人がサービス業者などと介護契約を締結し、身の回り の世話をしてもらうことになります。 <必要書類> 本人の戸籍謄本、住民票、印鑑証明書、任意後見人になる人の住民票、印鑑証明書が必要です。 また、不動産の登記簿謄本などが必要になる場合もありますので、公証人役場に確認して下さい。 <公証人への手数料> 1契約につき 11,000円です。また、登記するための手数料が、1,400円、登記所に納付する印紙代 が、4,000円かかります。 その他、本人に交付される正本代、郵送料金などがかかります。 <任意後見監督人とは> 精神上の障害により本人の判断能力が不十分になったときは、本人・配偶者・四親等内の親族または任意 後見受任者は、家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てを行います。 なお、本人以外の者からの請求の場合には、本人の同意が必要です。 家庭裁判所によって任意後見監督人が選任されてはじめて任意後見契約の効力が生じ、任意後見受任者 は「任意後見人」となります。そして、任意後見監督人の監督のもと、契約で定められた法律行為を本人に 代わって行なうことができるようになります。 なお、任意後見受任者または任意後見人の配偶者、直系血族および兄弟姉妹は、任意後見監督人には なれません。 *任意後見監督人の職務 @任意後見人の事務を監督すること A任意後見人の事務に関し、家庭裁判所に定期的に報告をすること B随時、任意後見人に対し、その事務の報告を求めたり、調査したり、本人の財産の状況を調査すること C急迫の場合には、任意後見人の代理権の範囲内において、必要な処分をすること D任意後見人またはその代表する者と本人との利益が相反する行為について、本人を代表すること また、任意後見人が死亡すると、任意後見契約は終了しますが、法定後見を開始したほうが良い場合には、 任意後見監督人は後見開始の審判等の請求ができます。 <任意後見契約の終了> @任意後見契約の解除 任意後見監督人が選任される前までは、本人または任意後見受任者はいつでも、公証人の認証を受け た書面によって、任意後見契約を解除できます。 任意後見監督人の選任後においては、本人または任意後見人は正当な事由がある場合に限り、家庭 裁判所の許可を得て、契約を解除できます。 A任意後見人の解任 任意後見人に不正な行為、著しい不行跡その他その任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は 任意後見監督人、本人、その親戚または検察官の請求により、任意後見人を解任することができます。 B本人または任意後見人の死亡または破産 C任意後見人についての後見開始の審判 任意後見人が後見開始の審判を受けたことによって、任意後見契約は終了します。 |