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<遺産分割の協議> 財産は被相続人の死亡と同時に自動的に相続人に移転します。しかし、そのままでは相続財産全体を共有 して所有しているだけです。 そこで、個々の財産を各相続人の所有とするためには、「遺産の分割」をして名義を変える手続が必要です。 ですから、遺言が無い場合や、遺言があっても財産の一部しか指定していない場合などには、相続人全員 (包括受遺者なども含む)の協議で遺産の分割をします。 協議の結果が法定相続割合と違っても、有効です。 ただし、協議は相続人全員でしなければならず、一人でも欠いた協議は無効となります。 <協議の前に> (1)相続人を確定する。 *戸籍謄本により、調査、確認する。 *相続人の中に、親権者とその未成年の子がいる場合には、利害関係が相反するため、特別代理人 選任という手続きが必要となります。 選任手続は家庭裁判所へ申立てをします。 *相続人の中に、行方不明者がいる場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立て たり、失踪宣告の申し立てをします。 裁判所が不在者財産管理人を選任すると、管理人と残りの相続人とで協議して遺産を分割すること ができます。 行方不明者の分の遺産は、その管理者が管理します。 相続人の生死が7年間不明のときは、利害関係人は家庭裁判所に申立て、失踪宣告の審判をして もらうことができます。 審判があると失踪した人は、不明になってから7年経過したときに死亡したとみなされます。 この死亡したとみなされた者の相続人を加えて、分割協議をすることになります。 (2)相続財産の調査 相続財産(資産、負債)を調べて、財産目録を作成します。詳しくは、こちら (3)相続財産の評価 土地、建物、株式などについて、それぞれの評価基準にもとづき評価をします。詳しくは、こちら <遺産の分け方> 実際に遺産を分割する方法としては、次のようなものがあります。 @現物分割 個々の財産を相続人に配分する方法で、最も一般的な方法です。 例えば、家屋は配偶者に、株式は長女に、預貯金は長男に、という方法です。 A代償分割 遺産を相続した相続人が遺産を取得した代償として、他の相続人に自分の金銭を支払うという方法 です。金銭でなく物を渡すと「代物分割」となります。 ただし、代物分割の場合、譲渡所得税がかかる場合があり、注意が必要です。 B換価分割 遺産を売却してその売却代金を分割する方法です。法定相続分どおりにきちんと分けたいという場合に 利用されます。 しかし、売却の際の譲渡所得税に注意が必要です。 C共有分割 遺産の全部または一部を相続人間で共有にするという方法です。 将来その財産を売却するような場合に、トラブルになるケースがあります。 以上のような方法を組み合わせ、それぞれの事情を踏まえ、公平な分割となるように協議します。 <協議が成立しなかったとき> 相続人間での協議が調わないときや、初めから協議に加わらない者がいるときなどには、家庭裁判所 に遺産の分割を申し立てることができます。 家庭裁判所ではまず、調停が行なわれますが、調停が成立しなければ、審判手続きで決定 が出されます。 調停の申立ては、「遺産分割調停申立書」に被相続人および相続人の戸籍謄本、不動産の登記簿謄本、 財産目録、固定資産税評価証明書などを添付して提出します。 <協議が成立したら> 相続人間で分割協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成します。 法律上は作成義務はありませんが、後日の紛争防止のため、そして不動産の名義変更や相続税申告 の際には必要になりますので、作成しておきます。 書式は自由ですが、誰が何を取得するのかについて、具体的に記載します。 特に、不動産の場合、地番などを謄本どおりに記載する必要があります。 遺産分割協議書は、相続人全員が署名、実印を押印の上、日付を記載し印鑑証明書を添付します。 最低、人数分作成して、各人が保管します。 <遺産分割協議書の作成いたします。> ご相談は、こちらから ご依頼は、こちらから <遺産分割のやり直し> 遺産分割をしたあとで、相続人のだれかから分割のし直しの要求が出ることがありますが、原則としてやり 直しはできません。 ただし、当初の遺産分割に重大な瑕疵があった場合には、やり直しができます。 重大な瑕疵とは、例えば遺産分割協議の際、一部の相続人または包括受贈者が参加していなかった場合 とか、相続人の一人が重要な財産を隠していたとか、○億円の価値があるとして計算していた財産が実は 半分の価値しかないことが分かった場合とかです。 このような場合には、最初の遺産分割は民法上無効となり、再分割ができます。 もし、相続税の申告・納税がすんでいれば、再分割の結果に従い再計算してやり直します。 |