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1.離婚時の年金分割制度とは? 2.制度導入の背景は? 3.分割の対象となる年金部分は? 4.当事者間で分割される「保険料納付記録」とは何ですか? 5.平成19年4月からの年金分割制度の基本的な仕組みは? 6.分割するとどうなる?分割の効果は? 7.分割の対象となる期間は、いつからいつまで? 8.分割の按分割合は、どのように決めるのか? 9.平成20年4月からの分割制度の基本的な仕組みは? その効果は? 10.「事実婚」関係(事実上婚姻関係と同様の事情にある関係)の分割はどうなる? 11.情報提供の請求はどうすればいいのか? 12.情報提供の内容は? 13.情報提供の請求に必要な書類は? 14.分割の請求手続きは、どうすればいいのか? 15.分割の請求は、いつまでにすればいいのか? 16.分割をされた者が老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている場合、分割を受けた者は分割を受けた ときに、受給資格期間を満たしたことになるのか? 17.分割をされた者が老齢厚生年金の受給権者である場合、分割を受けた者は分割を受けたときから年金を 受給できるのか? 18.現在既に年金を受給している者については、分割により、その年金額はどうなるのか? 1.離婚時の年金分割制度とは? 離婚時の年金分割制度は、平成19年4月以降に離婚等をした場合において、その当事者間の合意や 裁判手続きにより按分割合を定めたときに、その当事者の一方からの請求によって、婚姻期間等の保険 料納付記録を当事者間で分割することができる制度です。 按分割合を定めるためには当事者は、分割対象期間や保険料納付記録などの情報を正確に把握する 必要があり、社会保険事務所等に請求すれば必要な情報提供が受けられることになっています。 2.制度導入の背景は? 近年は、中高齢者等の離婚件数が増えていますが、現役時代の男女の賃金格差や給与格差などを背景 に、離婚後の夫婦双方の年金受給額に大きな差があるという問題がありました。 そこで、平成16年の年金制度改正により、平成19年4月から離婚時の厚生年金の分割制度が、また平 成20年4月からは離婚時の第3号被保険者期間についての厚生年金の分割制度がそれぞれ導入される ことになったのです。 3.分割の対象となる年金部分は? 分割の効果は、厚生年金や共済年金の報酬比例部分(いわゆる「2階部分」です。ただし共済年金の 「職域部分」を含みます)に限られます。 従って国民年金の基礎年金部分(1階部分)や厚生年金基金の上乗せ部分や確定給付企業年金等の 給付は対象とはなりません。 ※なお、共済年金における職域部分については、平成22年から廃止することとされています。 4.当事者間で分割される「保険料納付記録」とは何ですか? 保険料納付記録とは、厚生年金保険料の算定の基礎となった標準報酬(標準報酬月額と標準賞与額)の ことをいいます。厚生年金の年金額は、この標準報酬を基礎として計算されます。 また、分割の対象となる期間の厚生年金の保険料納付記録を当事者の生年月日に応じた再評価率を用 いて現在価値に換算した額の合計額のことを「対象期間標準報酬総額」といいます。 離婚時の年金分割制度は、この対象期間標準報酬総額が多いほうから少ない方に対して、当該額の一部 を分割する制度ということです。 5.平成19年4月からの年金分割制度の基本的な仕組みは? *平成19年4月以降に離婚した場合に、婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録(夫婦の合計)を、 当事者間で分割するというものです。 *平成19年4月以降の離婚であれば、それ以前の婚姻期間にかかる厚生年金の保険料納付記録も分割 の対象とすることができます。 *当事者は協議により按分割合について合意した上で、社会保険事務所に厚生年金の分割請求を行い ます。なお、添付書類として合意に関する「公正証書」等が必要となります。 *当事者間で合意ができないときは、離婚当事者の一方からの申立てにより裁判手続きによっても按分 割合を定めることができます。 *按分割合(婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録の夫婦の合計のうち、分割を受ける側の分割後 の持分となる割合をいいます)の上限は50%とし、下限は分割を受ける側の分割前の持分にあたる割合 となります。 年金分割制度の詳細は ⇒ こちらを参照下さい。 6.分割するとどうなる?分割の効果は? 分割を受けた当事者は、自身の受給資格要件に応じて、増えた保険料納付記録に応じた年金額を受給で きることになります。 ただし、分割を受けても、自身が所定の年齢に達するまでは老齢厚生年金は受給できません。 また、分割を行った元配偶者が死亡したとしても、自身の年金受給には影響はありません。 また、原則として分割された保険料納付記録は年金額計算の基礎とはなりますが、受給資格要件には 参入されません。 7.分割の対象となる期間は、いつからいつまで? 離婚又は婚姻の取消しの場合の対象期間は、その「婚姻期間又は婚姻の取消しにかかる婚姻期間」と なります。 ただし、その婚姻期間が次の@又はAの期間と重複する場合、対象期間は「婚姻期間から@及びAの 期間を除いた期間」となります。 @当事者以外の者が、当事者の一方の被扶養配偶者として第3号被保険者であった期間 A当事者の一方が、当事者以外の者の被扶養配偶者として第3号被保険者であった期間 8.分割の按分割合は、どのように決めるのか? 按分割合の定め方については、当事者間の合意による場合と裁判手続きによる場合の2つの方法が あります。 ・当事者間の合意により決める場合 合意により定める場合には、その内容を公証役場の公証人が作成した「公正証書」又は公証人の認証 を受けた「私署証書」(作成名義人の署名又は記名押印がある私文書のこと)において明確に記載しま す。 ・裁判手続きにより決める場合 按分割合について当事者間で合意ができないときは、当事者の一方が家庭裁判所に申立てをして、 裁判手続きによって按分割合を定めることができます。 裁判手続きには、調停、審判、訴訟などがあり、それらにより按分割合が定められたときは、按分割合 等が記載された書類(調停調書、審判書、判決等)を添付書類として分割請求することができます。 9.平成20年4月からの分割制度の基本的な仕組みは? その効果は? 平成20年4月以降に離婚した場合には、平成20年4月以降の第3号被保険者期間については、当事者 の一方からの請求により、第2号被保険者の厚生年金の保険料納付記録を自動的に2分の1に分割する ことができます。 従って、平成20年4月以前の第3号被保険者期間については、離婚しても自動的には2分の1に分割され ませんので、当事者間の合意又は裁判所の決定により按分割合を決めなければ分割できません。 なお、分割の効果は、平成19年4月以降の年金分割の場合と同じです。 10.「事実婚」関係(事実上婚姻関係と同様の事情にある関係)の分割はどうなる? 事実婚については、平成19年4月以降に事実婚が解消したと認められる場合であって、事実婚関係に あった間に、当事者の一方が他方の被扶養配偶者として国民年金の第3号被保険者として認定されて いた期間があるときに対象となります。 ・法律婚と事実婚が重複すると認められる場合は、事実婚の第3号被保険者期間の分割が優先されます。 ・同じ当事者間で事実婚が継続している場合であって、間隔をおいた第3号被保険者期間が複数ある場 合、複数ある第3号被保険者期間を一体として分割の対象とします。 ・事実婚から法律婚に移行した場合、同じ当事者間で婚姻関係が継続しているときは、これらの期間を 一体として分割対象期間とします。一方法律婚から事実婚に移行した場合、たとえ婚姻関係が継続して いても、これらを別個の分割対象期間と捉えます。 11.情報提供の請求はどうすればいいのか? 分割の按分割合を定めるために必要な情報は、社会保険事務所に対して請求すれば提供を受けることが できます。 情報提供の請求は、当事者の二人が共同で請求することもできますし、単独でもできます。 なお、情報提供については、次のとおり「年金分割のための情報通知書」が交付されます。 @当事者が共同で請求した場合は、当事者それぞれに対して通知書が交付されます。 A当事者のうち、お一人が請求した場合は ア 離婚等をしている場合は、請求者と元配偶者のそれぞれに対して交付されます。 イ 離婚等をしていない場合は、請求者のみに交付されます。 12.情報提供の内容は? 提供される情報の内容は、 @分割の対象となる期間 A分割の対象となる期間にかかる離婚当事者それぞれの保険料納付記録 B按分割合の範囲 Cその他 13.情報提供の請求に必要な書類は? 情報提供の請求手続きに必要な書類は、 @「年金分割のための情報提供請求書」(窓口にあり) A請求者本人の国民年金手帳、年金手帳又は基礎年金番号通知書 B戸籍謄本もしくは抄本等(婚姻期間を明らかにできるもの) C事実婚関係にある期間にかかる情報提供を請求する場合には、世帯全員の住民票の写し等の事実 婚関係を明らかにすることができる書類(詳しくは、社会保険事務所に問合せを) 14.分割の請求手続きは、どうすればいいのか? 当事者間の合意又は裁判手続きにより按分割合を定めても、実際に分割改定の請求をしないと年金分割 は行われません。 この年金分割の請求は、当事者の一方だけで行うことができます。 分割の請求は、請求書に必要事項を記入し、請求する人の現住所を管轄する社会保険事務所に行いま す。 請求にあたっての必要書類は、 @国民年金手帳、年金手帳又は基礎年金番号通知書 A戸籍謄本もしくは抄本 B公正証書等の按分割合を定めた書類等 15.分割の請求は、いつまでにすればいいのか? 分割の請求は、原則、離婚等をした日の翌日から起算して2年を経過するまでの間にしなければなりま せん。 なお、事実婚にかかる分割の請求については、事実婚が解消していると認められたときから2年を経過 するまでの間にしなければなりません。 16.分割をされた者が老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている場合、分割を受けた者は分割を 受けたときに、受給資格期間を満たしたことになるのか? 離婚時の年金分割制度は、年金の受給権や年金額そのものを分割するものではなく、年金額算定の基礎 となる保険料納付記録を分割するものです。 従って、分割を受けた者は自身の分割前の公的年金加入期間等により、受給資格要件を満たしていなけ れば年金を受給できません。 17.分割をされた者が老齢厚生年金の受給権者である場合、分割を受けた者は分割を受けたときから 年金を受給できるのか? 分割を受けた者は、自身の生年月日に応じた支給年齢に達しなければ、年金を受給できません。 18.現在既に年金を受給している者については、分割により、その年金額はどうなるのか? 分割に伴う年金額の改定については、以下のようになります。 例えば、老齢厚生年金の受給権者の場合 分割が行われたときは、原則として分割後の保険料納付記録を年金額算定の基礎として、当該分割の あった日の属する月の翌月から年金の額が改定されます。 一人で悩まず、まずはご相談ください。 「メール相談」は ⇒⇒ こちらから 離婚協議書の作成依頼・料金は ⇒⇒ こちらから |