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別れる相手に財産を渡したくないために財産を隠したり、処分をされないようにするためには、財産保全の 措置をとる必要があります。 *調停前の仮の措置 *審判前の保全処分 *民事保全手続 |
<調停前の仮の措置> 調停の申立てから成立までには、かなりの時間がかかります。その間に相手が財産を隠したり、処分して しまうのを防ぐためのものです。 「調停前」とは、調停申立て後、手続が終了する前ということであり、調停申立ての前ということではありま せん。 調停前の仮の措置は、調停委員会の判断で職権で発動しますが、申立人が調停前の仮の処分の申立書 を提出して職権の発動を求めることもできます。 いかなる処分を命じるかは調停委員会の裁量によりますが、この処分には執行力はありません。 正当な理由がなく措置に従わない場合には、過料に処せられますが、執行力がないため利用件数は少な いようです。 |
<審判前の保全処分> 審判の申立てがあった場合に、家庭裁判所が仮差押さえ、仮処分、財産の管理者の選任などの審判を 命ずるものです。 この保全処分の対象となるのは、 ・夫婦の同居、協力、扶助 ・婚姻費用の分担 ・子の監護 ・財産分与 ・親権者の指定、変更 などです。 具体的には、仮差押さえ、処分禁止・占有移転禁止などの仮処分、婚姻費用や養育費の仮払い、子供の 引渡しなどがあります。 審判の申立てにあたっては、求める保全処分と求める理由を明らかにしなければなりません。そして、申し 立てている審判が認められる可能性が高いか、保全の必要性があるのかなどが審理されます。 また、財産分与の仮差押さえなどの場合には、担保として保証金を供託しなければなりませんが、民事 保全の場合よりは低額になっています。 審判前の保全処分については、義務の履行勧告、履行命令を求めることができます。 |
<民事保全> 一般の債権回収と同じように、民事保全手続を利用できるものもあります。例えば、慰謝料請求権は不法 行為に基づく損害賠償請求権ですから、民事保全手続を利用できますし、財産分与や養育費についても できる場合があります。 これらの保全処分ができる要件は @保全処分を行える権利者であること A保全処分を行う必要性があること Bこれらの事実について、一応確からしいと思われる程度の証明ができること(疎明といいます) です。 保全処分は万一不当な申立てであれば、相手方が損害を被るかもしれません。そのため損害の担保として 一定額の保証金を供託しなければなりません。 |