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具体的な事例に基づいて、「自賠責基準」と「裁判基準(弁護士基準)」の算定方法を参考として下さい。 1.傷害事故(後遺障害なし)の事例 2.後遺障害の事例 3.死亡の事例 1.傷害事故(後遺障害なし)の事例 ・被害者 25歳 会社員 男性 ・傷病 右足骨折 ・入院 30日 ・通院 通院期間120日(実通院日数60日) ・事故前3か月総収入 72万円 ・休業日数 50日 ・通院費 片道300円 ・治療費 100万円 <自賠責基準による算定> @治療費 1,000,000円 ・必要かつ妥当な実費全額 A入院雑費 33,000円 ・1日1,100円×30日(入院日数) B通院費 36,000円 ・1日往復600円×実通院日数60日 C休業損害 400,000円 ・3か月の総収入72万円÷90日=1日当たり収入8,000円(平均賃金) ・平均賃金8,000円×50日 D慰謝料 630,000円 ・1日4,200円(定額)×治療期間150日 ・治療期間は、「入院日数+通院期間」(総治療期間)と「入院日数+実通院日数(実治療日数)を2倍 した日数(慰謝料認定日数)」を比較して、少ない方とする。 ※上記合計(損害賠償額) 2,099,000円 ただし、自賠責の支払い限度額は120万円ですので、これを超える部分の額については、任意保険 又は加害者に請求することとなります。 <裁判基準による算定(赤い本による場合)> @治療費 1,000,000円 ・必要かつ妥当な実費全額 A入院雑費 45,000円 ・1日1,500円×30日(入院日数) B通院費 36,000円 ・1日往復600円×実通院日数60日 C休業損害 400,000円 ・3か月の総収入72万円÷90日=1日当たり収入8,000円(平均賃金) ・平均賃金8,000円×50日 D慰謝料 1,300,000円 ・入通院慰謝料の表により、「入院慰謝料+通院慰謝料」を計算する。 ・通院期間、状況、障害の部位、程度等により増減があります。 ※上記合計(損害賠償額) 2,781,000円 2.後遺障害の事例 後遺障害が残存した場合、傷害部分の損害以外に後遺障害についての損害も請求ができます。 ・被害者 25歳 会社員 男性 ・症状固定時年齢 26歳 ・後遺障害等級 第7級10号 ・収入 300万円(賞与含む、源泉徴収票による) <自賠責基準による算定> @逸失利益 ・計算の算式 年収×労働能力喪失率×症状固定時の年齢における就労可能年数のライプニッツ係数 ・年収300万円×0.56×17.294(就労可能年数41年)=29,053,920円 A慰謝料 ・等級による定額であり、7級の場合4,090,000円 ※上記合計額(損害賠償額) 33,143,920円 ただし、自賠責の支払い限度額は、7級の場合には1,051万円ですので、これを超える部分の額に ついては、任意保険又は加害者に請求することとなります。 <裁判基準による算定(赤い本による場合)> @逸失利益 ・年収については、事故前1年間の収入を基準とするが、主婦、幼児、学生、高齢者などの場合には賃 金センサスによる場合もある。 ・裁判基準では年金現価表によるライプニッツ係数を使用するため、自賠責による表とは若干の相違が あります。(小数点以下の端数処理等) ・年収300万円×0.56×17.2944(就労可能年数41年)=29,054,592円 A慰謝料 ・等級による定額であり、7級の場合10,000,000円 ・事情により、増額や、近親者への慰謝料が認められる場合もあります。 ※上記合計額(損害賠償額) 39,054,592円 3.死亡の事例 逸失利益の算定には、死亡した本人の生活費を控除します。 ・被害者 40歳 会社員 男性 ・遺族 妻36歳(被扶養者) ・葬儀費 80万円(領収証あり) ・収入 600万円(賞与含む、源泉徴収票による) ・被害者過失なし <自賠責基準による算定> @葬儀費 800,000円 ・原則は60万円ですが、領収証等がある場合は100万円まで必要かつ妥当な実費となります。 A逸失利益 ・計算の算式 年収×(1−生活費控除率)×就労可能年数のライプニッツ係数 ・生活費控除率 被扶養者がいるとき35% いないとき50% ・年収600万円×(1−0.35)×14.643(就労可能年数27年)=57,107,700円 A慰謝料 ・遺族の慰謝料は、請求者の人数によって異なります。請求権者は、配偶者、父母、子です。
※上記合計額(損害賠償額) 68,907,700円 ただし、自賠責の支払い限度額は3,000万円ですので、これを超える部分の額については、任意保険 又は加害者に請求することとなります。 <裁判基準による算定(赤い本による場合)> @葬儀費 800,000円 ・原則は150万円ですが、これを下回る場合には実費となります。 A逸失利益 ・計算の算式 年収×(1−生活費控除率)×就労可能年数のライプニッツ係数 ・参考とされる生活費控除率は ・一家の支柱(被扶養者1人の場合) 40% ・一家の支柱(被扶養者2人以上の場合) 30% ・女子(主婦、独身、幼児含む) 30% ・男子(独身、幼児含む) 50% ・事例の場合 年収600万円×(1−0.40)×14.6430(就労可能年数27年)=52,714,800円 A慰謝料 ・以下のとおりの定額 ・一家の支柱 2,800万円 ・母親、配偶者 2,400万円 ・その他 2,000万円〜2,200万円 ・事例の場合 2,800万円 ※上記合計額(損害賠償額) 81,514,800円 なお、任意保険基準の算定方法については、公表されておらず、独自の算定基準をもっており、自賠責 基準、裁判基準とは異なります。 また、任意保険での賠償額は裁判基準による賠償額よりも低くなっています。 <注>上記はあくまで参考としての算定であり、実際の賠償額となるものではありません。 |