<クーリングオフ・中途解約・消費者トラブル>
 「 Q&Aと事例 」

                        行政書士桐山事務所
<消費者を守る法律>
Q1 特定商取引法とは?

A:  *特定商取引法(旧訪問販売法)では、主に次のことを規制しています。
     ・書面交付義務
     ・クーリングオフ
     ・広告規制
     ・勧誘行為規制(重要事項の不告知、不実告知の禁止、威迫・困惑行為の禁止、断定的判断の提供
      の禁止、断る者への迷惑勧誘の禁止など)

    *取引形態によっては、対象商品が政令で指定された商品(物品、役務、権利)に限定されています。

    *取引形態は、次の6種類を規制対象としています。
     ・訪問販売
     ・通信販売(クーリングオフは適用されません。)
     ・電話勧誘販売
     ・連鎖販売取引(マルチ商法)
     ・特定継続的役務提供
     ・業務提供誘引販売取引(内職商法、モニター商法)

    *詳しくは、こちらをどうぞ
                                                          Q&A目次に戻る
Q2 消費者契約法とは?
A:  *消費者契約法は労働契約を除く、全ての消費者契約に適用されますが、個人が対象であり、個人事業
     主でも営業、事業としての契約には適用されません。

    *特定商取引法ではクーリングオフできる商品などが限定されていますが、消費者契約法では全ての消
     費者契約に適用されます。

    *クーリングオフ期間経過後であっても、業者に違反行為があれば取消ができます。(期間あり)
     ・不実の告知
     ・断定的判断の提供
     ・不利益事実の不告知
     ・不退去
     ・退去妨害(監禁)
  
    *不当な内容の契約条項は無効となります。(例えば消費者の利益を一方的に害する契約条項)

    *詳しくは、こちらをどうぞ
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Q3 割賦販売法とは?  
A:  割賦販売法では、2ヶ月以上の期間にわたって、かつ3回以上に分割して支払うクレジット取引を規制して
    います。また、指定商品、権利、役務が定められています。
 
    主な規制内容は、次のとおりです。
     ・書面の交付義務
     ・支払停止の抗弁権(販売業者との間にトラブルが生じたときに、支払を停止できる権利)

    *詳しくは、こちらをどうぞ
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<販売方法>

<クーリングオフの基礎知識>
Q24 クーリングオフとは?
 A: クーリングオフ制度とは、一定期間内に書面で通知することにより、契約を無条件に解除できる制度
    です。理由もいらず、業者の同意も不要で、一方的にできるものです。
    だからといって、何でも、いつでもできるわけではありません。例えば、自分からお店に行って買った
    場合や通信販売などはクーリングオフできません。 (できないケースとは、Q6参照)
                                                          Q&A目次に戻る
Q25 クーリングオフの効果とは?
 A: クーリングオフの効果は、通知を発信したときに生じます。
    その効果は、
     @その契約は無かったことになる。
     A代金や頭金、申込金などは全額返金される。
     B商品を受け取っている場合は、その引き取り費用は業者の負担になる。
     C違約金や損害賠償金などを支払う必要はない。
     ということです。
                                                          Q&A目次に戻る
Q26 クーリングオフのやり方は?
 A:  クーリングオフは、一定の期間内に書面でする必要があります。
     つまり、「クーリングオフする」という意思表示をした日付が重要になりますので、必ず「内容証明郵便」
     で出して下さい。
     内容証明なら確実な証拠が残り、業者から「受け取っていない」などのいい逃れを防止できるからです。
                                                          Q&A目次に戻る
Q27 クーリングオフ対象商品は?
 A: 政令で指定された商品、権利、役務・サービスが対象となります。
    指定商品ならば、中古品、注文品、輸入品でもクーリングオフ適用となります。
    具体的には、こちらです。
                                                          Q&A目次に戻る
Q28 クーリングオフ適用取引と期間は?
 A: 取引の種類によって期間が異なります。
    詳しくは、こちらです。
                                                          Q&A目次に戻る
Q29 クーリングオフができないケースとは?
 A: クーリングオフできないケースとは、
     @クーリングオフ期間が過ぎてしまった場合
     A商品、権利、役務が指定商品でない場合
     B健康食品、化粧品および履物などの消耗品を使用したり、一部を消費した場合(ただし、ケースに
       よっては、できる場合もあります。)
     C購入者がセールスマンを自宅などに呼び寄せて契約、購入した場合
     D購入者が自ら、販売業者まで出向いて契約、購入した場合
     E通信販売で購入した場合
     F代金の総額が、3000円未満の場合
     G個人でなく、「事業者」として契約した場合
     などです。

     上記に該当し、クーリングオフができなくても、業者の悪質な行為や書面の不備などがあれば、クーリン
     グオフや契約の取消しなどができる場合がありますので、あきらめないで下さい。
                                                          Q&A目次に戻る
Q30 契約の際に交付する書面に記載すべき事項とは?
 A:  以下のとおりです。
     <絶対的な記載事項>
      @販売価格
      A代金の支払時期および方法
      B商品の引渡時期
      Cクーリングオフの告知
      D事業者の氏名または名称、住所および電話番号、法人にあっては代表者氏名
      E契約の申込みまたは締結を担当した販売員の氏名
      F契約の申込みまたは締結の年月日
      G商品名および商品の商標または製造者名
      H商品の型式または種類
      I商品の数量
     <任意的な記載事項>
      J商品に隠れた瑕疵がある場合の販売業者の責任について定めがあるときはその内容
      K契約の解除に関する定めがあるときはその内容
      L JK以外の特約があるときはその内容
                                                          Q&A目次に戻る

<クーリングオフ事例>
1. クーリングオフ隠しとは?
   A: 特定商取引法で定めるクーリングオフは書面を受領した日から起算して、何日間と決められていま
      す。ですから、クーリングオフに関する書面をもらっていない場合はもちろんのこと、その期間内であ
      れば無条件で契約解除ができます。

      しかし、それを逃れるためにクーリングオフの告知欄に名刺を貼り付けたり、重ねて文字を書いたり、
      ×印をつけたりして、いわゆる「クーリングオフ隠し」「クーリングオフ逃れ」といわれる手口が使われる
      ことがあります。

      このような場合には、クーリングオフ制度が消費者に正しく告知されなかった判断でき、期間経過後で
      もクーリングオフできることになります。
                                                          Q&A目次に戻る
2. 口頭でのクーリングオフ申し出は、有効か?
    電話でクーリングオフの申し出をして了解を得たのに、期限が過ぎてから「クーリングオフはできない」と
    いわれたという事例です。

   A: 特定商取引法の規定では、「書面により、申込みの撤回等ができる」と定められています。
      しかし、判例では書面と同等の明確な証拠がある場合に、口頭での解約申し出でもクーリングオフが
      認められた事例があります。
      ただし、解約申し出の立証は消費者がしなければならず、大変です。
      やはり、後日証拠となる書面でするのが、間違いないということになります。
                                                          Q&A目次に戻る
3. 訪問販売で買った消耗品のクーリングオフはできるのか?
    訪問販売で買った化粧品を使用してしまったので、クーリングオフできないと言われたという事例です。

   A: 特定商取引法では、いわゆる消耗品(健康食品、化粧品、避妊具、履物、反物など)について、使用
      または消費した場合には、その部分についてクーリングオフできないとされています。
      どんな状態が「使用又は消費」にあたるのかは、商品ごとに個別の状態で判断することになります。
      
      また、業者は消耗品についてこの取扱をする場合には、消費者に交付する書面にその旨を告知して
      おかねばなりません。ですから、消耗品についてその旨の告知がなければ、消耗品を使用又は消費
      しても、他の商品と同様、クーリングオフができ、代金を支払う必要はありません。
                                                          Q&A目次に戻る
4. 訪問販売で買った布団を、3日も使ったがクーリングオフはできるのか?
    訪問販売で高級布団を買って、3日も使用し汚れたものでもクーリングオフができるのかという事例です。
 
   A: 訪問販売で指定商品である布団を購入しているわけですから、クーリングオフの対象です。
      クーリングオフは理由も要らず、無条件で行使でき、販売業者は損害賠償または違約金の請求が
      できず、たとえ使用して汚れがついたとしても使用損料などを支払う必要もありません。
                                                          Q&A目次に戻る
5. 消費者に不利なクーリングオフの特約は有効か?
    訪問販売で鍋のセット商品を買って一つ使用してしまったが、契約書に「セット商品なので、一部でも
    使用したら全部返品できません。」と書かれている。本当に解約はできないのかという事例です。

   A: 鍋や婦人下着などは、化粧品などの消耗品とは違い、使用してもクーリングオフできますし、使用料
      などを支払う必要もありません。
      また、特定商取引法では、法律上のクーリングオフの規定に反するような「特約で消費者に不利な
      もの」は、無効とすると定めています。
      ですから、この場合、使用したものも含めて、すべてクーリングオフできます。
                                                          Q&A目次に戻る
6. 業者からの電話で日時を約束して、自宅で契約した場合、クーリングオフできるか?
    業者から話を聞いてもらいたい旨の電話があり、訪問日時を約束して自宅に来てもらった場合にした
    契約は、クーリングオフできるのかという事例です。

   A: 特定商取引法には、自宅で指定商品の契約を結んだ場合でも、クーリングオフ適用外となる規定
      があります。
      例えば、百貨店の外商の人を自宅に呼んだり、広告を見て買いたくなり、「店に行く時間がないから、
      家に持ってきてもらって、選びたい」などという場合は、いくら自宅で契約したからといっても、クーリン
      グオフはできません。

      しかし、商品について単に問い合せや資料の請求をした際に、業者から訪問して説明したいと言わ
      れ、消費者が訪問を承諾したという場合には、消費者から要請したわけではなく、クーリングオフが
      できます。
                                                          Q&A目次に戻る
7. 訪問販売で10日前に食器を買ったが、名刺とパンフしかもらっていないけど・・・・
    訪問販売で食器を買ったけど、解約したい。しかし10日経ってしまった。業者から受け取ったのは名刺
    と商品のパンフレットだけという事例です。

   A: 訪問販売は特定商取引法で、契約の申込みを受けたり契約を締結した場合には、直ちに申込みまた
      は契約の内容を明らかにした書面を消費者に交付することが義務付けられています。

      クーリングオフはこの書面を受領した日から起算して、8日以内となっています。したがってこの書面
      を交付されていない場合には、契約日から8日以上経過していても、クーリングオフができます。
      ただし、日時が経つほど、契約書類が散逸したり、販売店の行方不明など事実上の困難が出てき
      ます。
                                                          Q&A目次に戻る
8. アポイントメントセールスでダイヤを買い、クレジット契約した。一ヶ月経ってしまったが・・・
   クレジット契約して契約書の控えは渡されたが、商品欄には「ダイヤモンドリング」としか書かれていないし、
   鑑定書も保証書ももらっていないまま一ヶ月経ってしまったが、解約したいという事例です。

   A: アポイントメントセールスなので、特定商取引法の適用を受けます。交付する書面の記載事項の一つ
      には「商品名および商品の商標または製造者名、商品の型式または種類、商品の数量」というのが
      あります。

      渡された契約書の控えの「ダイヤモンドリング」は商品名ですが、商品の種類として当該商品を特定
      するための事項が記載されていません。つまり、カラット数やダイヤの品質、リングの材質などについ
      て何の記載もないということであり、法定の書面を渡されたとはいえないことになります。
      したがって、書面不備により、いまでもクーリングオフできることになります。
                                                          Q&A目次に戻る
9. 次々販売で1年に4回も訪問販売で契約したが、クーリングオフできるのか?
    訪問販売で断りきれずに、同じ業者で1年に4回も家の修理、改修をしてしまったが、こういう場合には
    クーリングオフが適用にならなくなるのかという事例です。

   A: 特定商取引法の適用除外の場合の一つとして、「販売業者がその営業所以外の場所において、
      売買契約の申込みを受けたり、契約を締結することが通例であり、かつ、通常購入者の利益を損
      なうおそれがないと認められる取引の態様で政令で定めるものに該当する訪問販売」があります。

      具体的には、
       @店舗販売業者の定期的な御用聞き販売
       A店舗販売業者の過去1年間に一度以上取引があった顧客に対する訪問販売
       B無店舗販売業者の過去1年間に2回以上の取引がある継続的取引関係にある顧客に対する
         訪問販売
       C事業所の管理者の書面による承認を得て行う職場訪問販売
       の四つを政令で定めています。

       上記のような訪問販売は特定商取引法の適用がないということです。
       
      しかし、このケースのような次々販売は日常生活の中で支障なく定着しているとはいえませんし、
      購入者の利益を損なうおそれがないと認められるわけでもありません。
      したがって、上記の趣旨からみて、クーリングオフの適用が可能と思われます。
                                                          Q&A目次に戻る
10. 契約後9日目にハガキが着いたので、クーリングオフできないと言われたが・・・・
     契約後7日目にクーリングオフの通知を出したが、業者から「9日目に着いたので解約できない」と
     言われたという事例です。

  A: クーリングオフは、「申込みの撤回等は当該申込みの撤回等に係る書面を発した時に、その効力を
     生じる」としています。
     ですから、このケースの場合は、クーリングオフできます。

     クーリングオフは、いつ書面を発信したかがポイントであり、その証拠は主に郵便局の消印です。
     ですから、ポストに投函しても時間によっては翌日の消印になってしまったり、消印が不鮮明で読め
     ないということもあり得ます。

     また、ハガキで出して業者から「着いていない」と言われたり、封書で出しても「中身がなかった」と言わ
     れたりします。
     ですから、一番確実なのは配達証明付内容証明郵便です。
                                                          Q&A目次に戻る
11. マルチ商法で買わされた健康食品を一部食べてしまったが、クーリングオフできるのか?
     マルチ商法で買わされた健康食品を一部食べてしまったが、クーリングオフで全額返金されるのか
     という事例です。

  A: マルチ商法は連鎖販売取引として、20日間のクーリングオフ期間があります。そして訪問販売の場合
     は化粧品や健康食品などの消耗品として政令で指定された商品を使用したり、消費した場合はクー
     リングオフができませんが、連鎖販売取引の場合にはクーリングオフができます。

     この場合、消費者は残りの商品を返品すればよく、業者は消費者に返金する代金の額から、商品の
     損料を差し引くことはできません。
                                                          Q&A目次に戻る

<中途解約事例>
1. エステの中途解約は?
  A:特定商取引法では、エステティクサロン、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソ
    コン教室を「特定継続的役務提供」と呼んでいます。
    契約金額が5万円を超え、一定の期間を超える継続性をもつ契約について、クーリングオフや中途解約
    制度を定めています。

    クーリングオフ期間を過ぎていても、サービス提供が終わるまでの間は、受けたサービス料金に一定の
    解約料を加えた金額を支払えば、自由に中途解約ができます。 (詳しくは、こちらです)
    また、勧誘の際や広告などに、不実告知があったり、断定的判断の提供があれば消費者契約法による
    取消しができる場合もあります。
                                                          Q&A目次に戻る
2. 家庭教師の中途解約と関連教材の解約は?
  A:家庭教師は特定商取引法で、特定継続的役務提供と呼ばれ中途解約制度が適用されます。しかし、
    それに付随して高額な教材の販売がなされるケースが多くあります。

    特定商取引法では政令で指定された商品を関連商品と定め、クーリングオフ、中途解約を認めてい
    ます。
    (例えば、エステ・・・健康食品、化粧品、下着など。  家庭教師・・・書籍、カセットテープ、ビデオテープ、
     CDなど)
    ただし、関連商品となるのは特定継続的役務の提供に際し、消費者が購入する必要のある商品をいい
    ますので、役務と商品の関連性が薄いものは該当しません。

    ですから家庭教師の契約を中途解約した場合には、教材セットも解約ができます。そして教材セットは
    返品し、通常の使用料に相当する額を解約料として支払います。 
                                                          Q&A目次に戻る
3. 結婚相手紹介サービスの中途解約は?
  A:これは、継続的に相手を紹介するという意味で、継続的役務の提供にあたり、特定商取引法の対象
    です。
    H16年1月からは無条件の中途解約が認められるようになり、一定の解約手数料(上限が決められて
    いる。)を支払えば中途解約できます。 (詳しくは、こちらです)
    もちろん、不実告知や断定的判断の提供などがあれば消費者契約法での取消しができます。
                                                          Q&A目次に戻る
4. 語学教室を中途解約したら、返金額が少なかったが・・・・
    中途解約はできたが、返金額が少なかった。業者は契約書の清算条項に基づく返金額だという事例
    です。

  A:語学教室は特定継続的役務として特定商取引法の適用を受け、中途解約も自由にできます。
    その際には、利用済のサービス料のほかに、解約料が法律で定められており、これを超える解約料
    などの定めは無効とされています。 (詳しくは、こちらです)

    ですから、業者の契約書に解約料の定めがあっても、特定商取引法の定めに反するものは無効と
    なります。
    また、業者の定めた清算方式が契約のサービスの内容と対価の関係とは別の不合理なものとなって
    いる場合で、その内容が業者に一方的に有利になっている場合には、無効となる可能性があります。
                                                          Q&A目次に戻る

<消費者トラブル事例>
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